【インタビュー】未だ見ぬタレントを求めて。「RBエリートクラス」という新たな挑戦
今回は、新設された「RBエリートクラス」についてのインタビューを実施。小池直文アカデミーダイレクターと富山貴光アカデミースカウトに、設立の経緯や意図について聞きました。



選手一人ひとりに即した特別なメニュー

この夏、RB大宮アルディージャアカデミーが新たな施策をスタートさせる。

「RBエリートクラス」

現状のRB大宮アルディージャU12、アドバンスクラス(スクール生の中から選抜されたコース)、TIPSコース(スクールの短期技術特化型コース)とは別に新設する、小学3年生~小学5年生を対象としたアカデミーが主体となって運営するコースだ。

小池直文アカデミーダイレクターは、このプロジェクトのスタートに際して、「タレントの確保」を大きな理由に挙げた。

埼玉県はジュニア世代、ジュニアユース世代だけを見ても群雄割拠。その中で、大宮はどう人材を確保し、育てていくか。大宮U12に加入できなかった選手の中にも、トッププレーヤーの原石は多く存在している。そうした選手を引き上げる試みとしては、他クラブがチーム活動とは別に平日夜に実施しているクラスと似た形ではあるが、レッドブルグループならではの取り組みも行う。

その一つが、選手一人ひとりに即した練習メニューの実施だ。フィジカルトレーニング、ポジション別トレーニング、IDP(Individual Development Planと呼ばれる個人育成プラン)トレーニング、アカデミー分析担当による試合分析や映像学習まで予定している。さらに、つい先日まで現役でプレーしていた富山貴光、菊地俊介といったコーチ陣がメイン担当となって選手たちにアプローチするという。

「RBグループのフィジカルトレーニングをフィジカルコーチが教える週もあれば、僕ならFW、俊介は中盤やディフェンスといった、ポジション別のトレーニングも行える。それに、人間的な部分がしっかりしていないとプロサッカー選手にはなれないという面も自分たちの経験則から落とし込める。そうやって、ほかにはないものを作り上げていけたらいい」

そう話したのは富山アカデミースカウト。「子どもを見るのが好きだし、この役職は一番やりがいがあると感じた」と、普段はU15世代のスカウトに奔走しているが、このクラスも担当することになった。

小池アカデミーダイレクターも「われわれが『4コーナー』と呼んでいる、技術、戦術、フィジカル、メンタルという4つの要素をうまく織り交ぜながら指導していきたい」と語っている。

市原吏音のような選手を毎年輩出できるように

もう一つの大きな特徴は、費用面だ。「これはクラブとしての投資」(小池アカデミーダイレクター)と語るように、入会費、月謝は無償化する方針で、年会費4,500円のみを徴収予定だという。ウェアについても無料で提供予定というから驚きだ。「費用面であきらめるような選手が出ないように、一人でも多くの方に参加してもらいたい」(同アカデミーダイレクター)。そうやって制限は設けず、普段は別クラブで活動している選手にも門戸を広げる。「親から見ても子どもたちがサッカーを楽しんで、うまくなっているというふうにもっていければこの作戦は成功」と小池アカデミーダイレクターは展望した。

富山アカデミースカウトも将来を展望している。

「アカデミーからトップチームに昇格して活躍し、海外移籍を果たした市原吏音のような選手を毎年輩出できるような流れにしたい。ジュニア世代から選手を発掘して、成長させて、その後のサポートもしていくのがわれわれの使命。そうすれば必然的に大宮に選手が集まってくるし、チーム内やほかのクラブとの競争もより激しくなって、『埼玉県からいい選手がたくさん生まれるよね』という形にしたい。それが地域貢献の一環にもなるし、大宮の発展にもつながる」

富山氏の言葉にうなずきながら、小池氏も続ける。

「アカデミーのコーチたちに言っているのは、トップチームがACLに出て、優勝争いもするようになったときに、今教えている子たちがしっかりそのピッチに立てるようにしないといけないということ。今、トップチームとアカデミーの交流はとても良い状態にあると思っていて、神田泰斗、木寺優直、小林柚希、マギージェラニー蓮は高校生ながらトップチームの試合にも出ている。練習メニューにもテーマがしっかり決められ、選手たちに落とし込んでいて、例えばハイプレスはアカデミーでも文化になりつつある」

2人が語ったように、大宮アカデミーの見据える先は現状よりももっと上だ。「うまくいかないかもしれないけれど、どんどんアグレッシブに進めていくのが今は大事。怖いから前に進めないというのは避けたい。同じように、保護者の方にもお子さんたちをこのクラスにチャレンジさせてほしいと思っています」(小池アカデミーダイレクター)。

RBエリートクラスの活動期間は今年9月〜来年6月予定で、今年8月上旬にセレクションを実施するほか、スカウト活動による選手の追加も視野に入れている。
活動会場は堀崎公園グラウンドで、⽊曜日17:00〜18:30の間、年間30回ほどの活動を予定。⼤宮U12がオフとなっている⽊曜のグラウンドを有効活⽤しながら、各カテゴリーで 7、8⼈程度が属してプレーしていくこととなりそうだ。


田中 直希(たなか なおき)
2009年からサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の記者として活動。首都圏を中心に各クラブの番記者を歴任し、2025年からはRB大宮アルディージャの担当を務める。著書に『ネルシーニョ すべては勝利のために』、『Jクラブ強化論』など。

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