明治安田J2リーグ 第18節
2025.5.31 [SAT] 14:00 NACK

大宮

  • 35' ファビアン ゴンザレス
  • 69' 豊川 雄太
2 - 2
1 前半 1
1 後半 1

磐田

  • 4' 倍井 謙
  • 90+4' マテウス ペイショット
試合経過
相手の強み(=ウイング)を消せるか。 4連勝を期す、“激しき神経戦”
シーズン2度目の4連勝を目指す戦いである。対戦相手はJ1昇格候補にあげられる磐田だ。6ポイントマッチと言ってもいい一戦だが、チームは「いつもどおり」のマインドで統一されている。長澤徹監督は「チャレンジャー」という言葉を持ち出し、「相手をしっかりリスペクトして、向かっていく。レッドブルグループと哲学を合わせているので、アグレッシブに熱量を持って入っていきたい」と話す。

磐田は両ウイングのジョルディ・クルークスと倍井謙が、ドリブル突破とクロスで好機を生み出している。トップ下の角昂志郎は前節の徳島戦で豪快な右足ミドルを突き刺し、ポケットへの進入も巧みだ。ボランチの上原力也のミドルには警戒が必要で、左SB松原后の攻撃参加も注意しなければならない。

大宮は[3-4-2-1]、磐田は[4-2-1-3]とシステムがミスマッチする中で、自分たちの強みを押し出しながら、相手の特長をつぶすことができるか。一人ひとりが目の前の相手に負けないことは大前提で、攻撃はいつもどおりに人数をかけつつ、磐田のウイングが守備に帰陣せざるを得ない展開へ持ち込みたい。

3バックのCB、ウイングバック、シャドーの選手に加えてボランチも連係しながら、崩しの局面で「個」が質的優位を発揮することで得点機を作っていきたい。それが、相手の強みを封じることにつながっていく。

撃ち合いではなく、ロースコアの攻防が予想される。交代選手の投入とそのタイミングも、勝敗を左右するだろう。流れを変えるゲームチェンジャーや、リードを勝利へつなげるクローザーの働きもポイントだ。ピッチでの激しい攻防と、両ベンチの神経戦と。試合開始から目が離せない。

(文:戸塚啓)

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監督コメント
磐田は、非常に強くて個も組織もあるという形で、敬意を持って入らなければいけないですし、どのような状況になっても対応できる準備はしなければいけないので、試合までの期間でしっかり準備して入っていきたいと思います。細かいところ、ディテールの勝負になると思うので、しっかりと整理したいと思います。歴史的に見てもJ1でやっていた名門で、そのプライドや組織文化というのはずっと残っていると思います。ちゃんとリスペクトして入ることが大事で、ただ、リスペクトというのは上に見るということではなくちゃんと敬意を持って入るということで、我々は全部を出さなければいけないですし、まずそこからでないとゲームは動かないと思っているので、それが勝つための大前提だととらえています。

あと3試合で折り返しますが、残留に向けたリスクヘッジというのは全チームが考えていると思いますが、そこに関してはある程度できているとは思っているので、後ろを振り返らずにこの3試合を取れるかどうかということがすごく大事なところで、ホームで2試合あるので、取れるだけ取って折り返したいというのが正直なところです。

順位や立ち位置はそれほど気にせず、基本的にはちゃんと敬意を持って入るので、相手がどうとかではなくて、選手たちには1試合1試合を追わせています。僕が持ってからまだ2年目のチームで、マインド的には勝点を計算して入れるほどのチームではないので、どちらかというと向かっていく方向でやっています。そこはライプツィヒもレッドブルグループもみんな考えが一緒で、上からコントロールするような形は取っていないので、そこは哲学を合わせて、どこが相手でも熱量を持ってアグレッシブに入れるかということがポイントなので、いわき戦のようにアグレッシブで局面を取られてしまうとやはり受け入れるべきゲームではないので、そこだけは外さずにいくということが一番ポイントかなと思っています。

リーグ全体としては、最終的にはチーム力になると思うので、ベストメンバーを組んだらどこも間違いなく強いので、ただ累積が出てきて、ケガが出てきて、調べたらわかると思いますが、ベストメンバーで試合ができるのはシーズンの1/3もないのではないかと思います。連戦のターンオーバーとか結局はチームの総和で、いるメンバーで最大限のパフォーマンスを出したところが上がりますし、J1になってしまうと今度は獲得する選手にお金がかかってきてウインドーが勝負になったりするのですが、J2はそこまで資金力があるわけではないので、おそらく保有選手で多少の入れ替えがある中で生かしたところが勝ちかなと思います。結局、クラブ力、チーム力というのが一つポイントで、あとは接戦をどう取っていくかということがポイントになるかなと思います。
選手コメント
コンディションは徐々に上がってきている感じがしますし、ここ最近は特にいいかなと思います。夏はやはり総力戦になると思いますし、暑い中でどれだけ走れるか、チームとしても走らなければ勝てないサッカーをしているので、そこは試されていると思います。

自分たちの目標を達成するために、勝点を積み重ねることは絶対に大事だと思いますし、負け試合を引分けに持っていったりとか、引分けを勝ちに持っていくなど、僅差の試合を持ってこれるかということが大事だと思うので、致命的なミスをしないこともそうですし、小さな積み重ねなどやるべきことをしっかりやるというところをチームとして徹底していければ、そういう試合も持ってこれるのではないかと思います。

個人としては、今までと変わらずにしっかり守って、前線の選手が点を取ってくれるとは思いますが、自分もしっかり点を狙って、守って点を取ってチームを勝たせることができるように頑張ります。ラインコントロールやコーチングは特に意識しているわけではないですが、そこは自分の良さでもありますし、監督からも求められているところなので、変わらず取り組んでいきたいです。

磐田はJ1でやっていたチームなので、個々はいい選手がいると思いますし、順位は関係なく自分たちがチャレンジャーという気持ちを持って戦っていきたいです。
今は2位ですが、自分たちは1位を目指しているので、まだ追いかけている最中という感覚です。ここまでは、かなり難しい試合でも勝点を持ち帰ることができているので、無駄なポイントの損失がないと思います。あとは、かなり頭のいい選手たちが集まっているので、それがここまでの成績につながっていると思います。

個人としては、今年はキャンプでしっかりコンディションを上げることができたので、開幕から調子はよかったです。ただ、メンバーを決めるのは監督なので、そこは自分が出場できた試合に関しては思いっきりプレーをしてチームのためにやろうとしましたし、今は幸せなことにスタメンで出場していますが、思いっきりプレーすることと、あとは仲間を助けるプレーができているのかなと思います。個人としての目標というよりも、まずはチーム目標を達成することが第一で、そのために個人としてもっともっとできることがあると思います。

試合中は、自分がスペースを作って仲間にそのスペースを埋めてもらったり、あとは仲間がスペースを作って自分がそのスペースを埋めるとか、いろいろシュチュエーションがあるので、自分はそこを常に試合中に観ていて、いけるなと思ったときには高い声を出して呼び込んだりしています。

自分たちはかなり堅い試合ができるチームですし、スキを見せないというのが自分たちのサッカーだと思います。磐田は関してはやはり難しい相手ですが、ホームではしっかりと勝点を積み上げるということを自分たちは今までやってきましたし、それを前提にしっかりプレーしたいと思います。
メンバー

スターティングメンバー

46*'
84'
70'

控えメンバー

84'
46*'
50'
70'

監督

長澤 徹

スターティングメンバー

GK 1 川島 永嗣
DF 4 松原 后
DF 5 江﨑 巧朗
DF 36 リカルド グラッサ
MF 6 金子 大毅
60'
MF 7 上原 力也
MF 8 為田 大貴
60'
MF 23 ジョルディ クルークス
MF 39 角 昂志郎
79'
MF 71 倍井 謙
79'
FW 20 佐藤 凌我
71'

控えメンバー

GK 13 阿部 航斗
DF 2 川﨑 一輝
79'
DF 3 森岡 陸
DF 26 西久保 駿介
DF 35 朴 勢己
DF 38 川口 尚紀
60'
MF 25 中村 駿
60'
MF 33 川合 徳孟
79'
FW 11 マテウス ペイショット
71'

監督

ジョン ハッチンソン
試合詳細
9 シュート 14
11 GK 5
2 CK 9
9 直接FK 17
0 間接FK 1
0 PK 0
試合データ

主審

長峯 滉希

副審

馬場 規

副審

小出 貴彦

第4の審判員

國吉 真吾

入場者数

10,299人

天候

雨、弱風

ピッチ状態

全面良芝

気温/湿度

16.9℃/63%

HIGHLIGHT

豊川の豪快ミドルで逆転するも終了間際に追いつかれドロー
明治安田J2第18節は、相手に磐田を迎えるホームゲーム。1週間前に行われた天皇杯では敗れたが、リーグ戦は3連勝中で2位につけている。この試合は、6位・磐田との上位対決。首位の千葉を追うためにも、しっかりと競り勝ちたいところだ。

強い風に小雨が舞う天候の中でキックオフを迎えた試合は、厳しい立ち上がりとなった。開始早々、互いが積極的に攻め込む中、相手のカウンターを受けた場面でファウル。相手のFKを跳ね返したが、シュートブロックのこぼれ球を奪われ、開始4分で先制点を決められた。

20分、泉がカットインシュート。ようやく明確なチャンスが生まれると、少しずつ好機が増えた。29分、泉が高い位置で奪ってショートカウンターを仕掛け、杉本がシュート。30分にも高い位置での奪い返しから、クロスをカプリーニがシュート。どちらもゴールをとらえられなかったが、好機となった。33分には、カウンターのピンチをGK笠原が好セーブ。

攻め切るか、カウンターを受けるか。スリリングな展開が続く中、カウンター返しが実った。35分、カプリーニのロングパスでファビアン・ゴンザレスが右サイドを抜け出すと、小島を経由して左へ展開。泉のシュートは相手に当たったが、こぼれ球をゴンザレスが押し込んだ。その後、落雷のため試合は一時中断となったが、約40分の中断を経て試合が再開。スコアは動かず、1-1で折り返した。

後半は、谷内田に代わって和田が出場。最終ラインと中盤の間をケアし、守備を安定させた。序盤は、クロスボールの折り返しを押し込まれそうになる大ピンチがあったが、市原が自陣ゴールを向いた状態から敵陣に向かってクリア。直後には、豊川が出場。

55分、小島が自陣で華麗なドリブルで前進すると、カウンター攻撃を開始。左から右、中央、左とスムーズにボールを運んだが、最後は杉本の足下でパスが合わなかった。60分過ぎにも泉のドリブルから杉本の左足ボレーシュートまでつなげたが、ヒットせず得点を奪えなかった。

しかし、69分に衝撃的なゴールシーンが訪れた。右サイドで関口が持ち上がり、中央へ鋭くパス。豊川が左足で止めたボールが少し浮いたところで、右足を強振。豪快なミドルシュートをゴールに突き刺した。

逆転に成功したが、リードした後は、磐田の反撃が待っていた。74分にクロスからのボレーシュート、81分には途中出場の藤井が負傷でピッチを離れて1人少ない時間にクロスから強烈なヘディングシュートとピンチが続く中、GK笠原が死守。終盤は、村上の投入で最終ラインの人数を増やして守備を固めた。しかし、90+4分、クロスからヘディングを決められて同点。勝利を逃し、引分けとなった。

明らかに力がある相手との難しいゲーム。勝利寸前の戦いで現時点での力を証明したが、この壁を超えて勝ち切れなければ優勝争いは難しい。最後の1点を守り切ることだけでなく、市原は「後半はうまく対応できたけど、前半からできればなお良かった。優勝するチームは、こういう試合を勝ち切る。何かが足りなかった」と試合中の対応力の問題を指摘。杉本は「勝ち越してからの戦い方。全員が戻って守備をするのはいいけど、オレを含めて、奪ったボールをもっとつながないと」と押し返せる攻撃の改善を要求。和田は「2点を取って、引かされている状態。もっと攻めないといけないし、もっと前で守備をしなければいけない」と守備のレベルアップを課題に挙げた。

勝ち切れなかった試合だが、リーグを勝つための課題を各々が強く感じ取り、成長の糧を得た試合とも言えそうだ。次節は、愛媛とのホームゲーム。今度は、改善の手ごたえと勝利の喜びを強く感じる試合にしたい。

(総評:平野 貴也)

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監督コメント
10,000人ちょっとのサポーターの方に入ってもらって、雨が降っていて途中で中断になったりして非常に大変な思いの中で応援してもらいましたが、最後に勝ちきれなくて申し訳なく思っています。ただ、選手は最後までファイトしたので、しっかりと次につなげていきたいと思います。

立ち上がりにリスタートのこぼれからぶち抜かれて、まさしくスペックなのですが、先制を食らったところからゲームが始まったのですがダメージは少なく、割とそこからゲームは進めていけたと思います。点を取らなければいけなかったので、割と行ったり来たりしないと点が取れないと思ったので、危ない場面もありましたがこっちも攻めにかかっていってという中で、ゲームが進んでいったと思います。

ファビアン(ゴンザレス)が決めて追いついて、そこでゲームが止まってという展開でしたが、だいたいイメージどおりの進み方はしたと思っています。ただ、前半はCKがゼロだったので少し攻撃がていねいすぎないかという、キレイに崩そうというのは全然悪いことではないですが、やはりもう少し危険なプレーとかリスクを取って入っていかないとというところで、目線を合わせて後半に入っていきました。

後半に関しては、割と決定的もあった中でちょっと(杉本)健勇のところはアンラッキーというか彼の日ではなかったのかなと思いながら観ていましたが、それでもきちっとチャンスを作っていって、交代で出ていったトヨ(豊川雄太)が彼らしいレスポンスの効いたすばらしい得点でリードを奪ったので、そのままクローズで入っていけるかなと思いましたが、やはり最後の(マテウス)ペイショットのスペックというか、外からのクロスがもうわかり切っていたので村上(陽介)を入れて高さの対策をしたのですが、基本的には動きで外されてフリーにしてしまったという部分で、見えていた部分なので少し悔しいですが、学ばなければいけないよねというところで、まだまだ我々にはやることがたくさんあるということで、今ロッカーで話してきました。

とはいえ、すばらしいゲームの中で、一進一退の中で、やはり決めなければやられるというところで危険なゲームではあったですが、こういうゲームを重ねてしっかり勝点を取りながらやっていかなければならないのと、次のゲームがもう1回ホームですが非常に大事になるので、もう1回しっかりと準備して愛媛戦に臨みたいと思います。
選手コメント
ゴールシーンは、最終的に自分のところにこぼれ球が来た形になりましたけど、チームとしてもスペースをうまく使っていくような攻撃は練習から取り組んでいるので、その形がうまく出たかなと思います。

デュエルのところでは、リカルド グラッサ選手は自分が磐田にいたときはチームメートで、彼はすばらしい選手ですし、完璧なDFだと思っています。彼みたいな選手とデュエルをできるのは自分としてもうれしいことですし、100%の力を出して当たりにいけるデュエルというのはとても好きなので、彼のような選手を相手にしてデュエルできるのはすごく良かったことだと思います。

磐田にいたときよりも今は少し時間が経って、少しずつ日本のスタイルに合ってきたと思いますし、監督からとても信頼してもらえているということを感じるので、それはやはり選手としてはとてもうれしいです。

3試合連続得点ができているのでやはり感覚は良いですし、フィジカル面でもとても良い感覚でプレーできています。これが少しでも長く続けられるように、今まで以上に努力していきたいなと思います。
今日は勝点2を落とした悔しい試合だったかなと思っています。前半はよく1点に抑えて折り返したなと思っていますし、1-1の状況で途中交代で入ったら、自分が点取れるという感覚もありました。ただそこまでは良かったんですけど、やはり自分も含めて勝てなかったというのがまだチームの課題かなと思います。

ゴールシーンは、感覚的なところで、少しトラップが浮いたので良い感じで入るかなと思って打ちました。自分でもすばらしいゴールだと思いますけど、勝たないとあまり意味がないので、次はしっかり2、3点取れるようにやっていきたいなと思いますし、しっかり勝ちにつながるゴールにしたいなと思います。

今日みたいなゲームに勝点3を持ってこれるように、日々トレーニングからもう一回共有してやっていきたいと思います。次は勝つだけだと思いますし、上に行くためには勝たないといけないので、しっかり勝点3を取りにいきたいと思います。

サポーターの皆さんがたくさん来てくれているホームだと雰囲気も違いますし、いけるぞみたいな感覚はチーム全体というか、選手一人ひとりが感じていると思うので、これからまだまだ後押しをしてくれるとうれしいです。
今日は失点の時間帯を考えればすごくもったいない試合だったので、そこは今後に向けての宿題かなと思います。

ゲームはやはりお互いに流れがくることがあると思いますし、複数失点をせずに1失点の時間帯が長かったので、ウチが必ず点を取るチャンスが来ると思っていました。最後に決められてしまいましたけど、一個やられたところで連続してやられないとか、そういうところでペースもだんだん持ってこられたと思います。

後半から戦術眼を持った(和田)拓也が入ったことで、前を動かしてくれたり、コースを限定してくれたりしてくれたので、そこはハーフタイムを使いながら修正できた部分でした。前から行くためのコーチングや、どういう準備をして前に出ていくのか、タイミングとかもトレーニングから合わせていければ良いと思います。

最後簡単に上げさせないとか、もう一個寄せるとか、そういうところを突き詰めていくしかないのかなと思います。自分自身も、守備範囲を広げていけたら良いなと思いますし、判断のところはブレさせないようにしないといけないですけど、自分の感覚を信じながらやっていかないといけないと思います。ただ無理して出ていってやられるというシーンがあってはいけないと思うので、みんなで連携して守れるようにトレーニングから突き詰めてやっていければと思います。
フォトギャラリー

(写真:高須力)

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